予防できる癌

女性週刊誌などでも取り上げられているので、ご存じの方も多いかと思いますが、
もうすぐ、子宮頚癌の原因の1つである「ヒトパピローマウィルス」に対するワクチンが発売されます。

今日、業者の方から、詳しい話を聞く機会がありました。

子宮癌というのは、
子宮の出口付近にできる「頚癌」と、
子宮の奥(内膜)にできる「体癌」とがあるのですが、
頚癌は、ウィルスの関与によって発症するということがわかってきました。

ヒトパピローマウィルスというのは細かく分類すると100種類くらいあるのですが、
そのうち16型、18型というのに感染することが頚癌の発症の大きな原因である、
子宮頚癌全体の6割から7割が、この2つの型のパピローマウィルスが原因である、
ということが最近わかってきました。

このウィルスに、どうして感染するかというと、
それはやはりセックスで感染するわけですね。

ただ、ウィルスに1度感染したら癌になるのか?というと、そうではなく、
セックスの経験のある女性は、ほとんど全員が1度はこのウィルスに感染するのだそうです。

でも、子宮頸部の細胞にこのウィルスが1度感染しても、
ほとんどの場合は、自然に細胞からウィルスが排出されてしまい、
なにごとも起こらないのです。

そこへまたウィルスがやってくる、感染する、排出される、
またウィルスがやってくる、感染する、排出される・・・
というのを繰り返しているうちに、
ごく一部の人に「持続感染」が成立し、
そのまた一部の人の細胞が「前癌病変」へと変わっていく。
前癌病変からも、また正常細胞に戻る人もあるんだけど、
一部の人は、本当の癌へと進行していく、というわけです。

なので、ワクチンを打って、体の中にこのウィルスに対する免疫を作り、
ウィルスがやってきても細胞に感染しないようにしよう、というわけですね。

一番効果があるのは、まだ性交渉の経験がない女の子にワクチンを接種することで、
アメリカとかでは10歳くらいでワクチンを打つそうです。

1度打ち、1ヶ月後に2度目を打ち、半年後に3度目を打つそうです。

3回の接種で免疫がほぼ得られるので、
免疫ができた人の癌の予防効果は、非常に高いそうです。

じゃあもう性交渉をした人には、打つ意味はないのか?というと
そんなことはなく、
まだ持続感染が成立していない人には、免疫をつけておく意味は大きいです。

それに、感染が成立して、すでに前癌病変になってしまっている人に打っても、
細胞を正常に戻していくなんらかの効果があるのでは?と言われています。
(まだ臨床上、証明はされていない)

もう癌になってしまった人に対しては、治療効果はないそうです。

このワクチンの普及で、子宮頚癌は予防できる癌になる、と言われていますが、
もちろん16型、18型以外のタイプからも発症してくる癌はあるし、
ウィルスが原因でない子宮頚癌もあると思うので、
100%予防というわけにはいかないでしょうが、
かなりの予防効果はあると思います。

ワクチンの費用は、おそらく1回あたり16000円前後になるとのこと。
3回で約5万円ですね。
ワクチンだからもちろん、健康保険はつかえないし、
政府からの補助も今のところ出そうにありません。

これを高いと思うか、安いと思うかは人それぞれでしょうが、
わたしは・・・う〜ん、どうかなあ、
自分には打たないけど、
はな子が10歳くらいになったら打つかなあ。

ただ、ワクチンを打ったからといって子宮癌に絶対ならないというものではないので、
定期的な子宮癌検診はもちろん必要です。

わたしたちの身をおびやかす癌は、もちろん子宮頚癌だけではなく、
乳癌なんてものすごく増えているし、
胃ガンも肺ガンもあるし、
その他にもいろんなやっかいな病気や、
交通事故、災害、愛する人の死や離婚など、
降りかかってくる可能性のある不幸は山ほどあるけど、
でも、その中のほんの一部に過ぎないけど、予防できる不幸があるのなら、
やっぱり予防しておきたいですよね。
by powderblueY | 2009-12-08 23:53 | 仕事 | Comments(0)


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