「The Lady  アウンサンスーチー 引き裂かれた愛」

わたしは政治に疎いので、
アウンサンスーチーさんといえば、ビルマの民主化指導者で、
ノーベル平和賞を受け、
長く自宅軟禁に置かれたけど、つい最近、解放された、くらいのことしか知りませんでした。


もともと彼女は、「ビルマ建国の父」と呼ばれた国民的指導者アウンサン将軍の娘で、
2歳の時に、父は政敵に暗殺されてしまいます。


その後、オックスフォード大学に留学し、イギリス人の大学教授と結婚し、2人の男の子がいるんですが、
そんなこと全然知りませんでした。


テレビで見る彼女の凛とした強さからは、
温かい家庭を持っている姿を想像できなかったから。


イギリスで、政治とは無縁の幸せな家庭生活を送っていたスーチーさんでしたが、
ビルマにいる母親が病気になり、看病するためにビルマに帰国したところから、
数奇な運命が始まります。


当時、民主化を求める国民を、軍事政権が激しく弾圧していたころで、
学生のデモに発砲し、多数の死傷者が出たのを目の当たりにし、
また、民主主義運動家たちも「アウンサン将軍の娘がビルマに帰ってきた」ことを聞きつけて、
翌年の選挙にぜひ出馬するよう、スーチーさんに要請し、
こうして、彼女は民主化運動の世界に身を投じていきます。


初めて彼女が数十万人の国民の前で演説をした時、
イギリス人の夫や子供もその場にいて、
演説を聴いていたの。
彼女をとても誇りに思っていたのね。


このへんからすでに、強い家族だなあって思うよね。
普通「危険だし、そんな運動はやめろ。イギリスに帰ろう」って言うでしょう。


やがて夫や子供は、仕事や学校があるのでイギリスに帰国し、
こうして家族離ればなれの生活になります。
今みたいにネットで世界中がつながっている時代ではなく、
家族をつなぐのは手紙や電話だけ。
電話も軍事政権の弾圧により、短い時間で回線が切られてしまったりする。


そんな中で、スーチーさんは家族のことを思いながらも、信じる道を進みます。


軍事政権側にとって、スーチーさんは大変に目障りな存在だったわけですが、
彼女を殺しはしない。
なぜかというと、「アウンサン将軍は殺されて英雄になった。だから彼女を殺してはいけない」。
つまり生かさず殺さず、彼女の持っている力を無効にしようと、
自宅軟禁が始まります。
1989年のことでした。


彼女の自宅軟禁を解こうと、夫もイギリスで各方面に働きかけ、
彼女はノーベル平和賞を受賞しますが、
当然、授賞式にも出られない。


1995年に6年ぶりに自宅軟禁から解放された時、
一度だけ夫や子供と再会しますが、
その後、イギリス人である家族がビルマを訪れるためのビザが発行されることは2度となく、
彼女は実質的に家族に会えない状態になります。
その後も軟禁状態が続きます。


そして、イギリスで夫が癌になります。


病気の夫のそばにいてあげたい。
だけど彼女がもし、ビルマを出国してイギリスに行ったら、
ビルマへの再入国は、政権側が絶対に認めない。
軟禁状態に置かれながら、ビルマの民主化運動の精神的指導者であるスーチーさんは
今、ビルマを離れることは絶対にできないわけです。


「夫や子供に会いに行くことを選ぶか、それとも祖国を選ぶか」と
政権側の警察署長は冷たく言い放ちます。


彼女は肉体的に拷問を受けたりしたわけではないけれど、
こういう心理的な弾圧は、本当にひどいよね。
こういうの見ると、今の日本が平和な国で、本当によかったって思うわ。


夫の病状はいよいよ悪化し、
とうとう彼女は電話で「あなたに会いに行くわ」と言うのですが、
死にそうな夫は「だめだ。そんなことをしたら、君と僕が今まで戦ってきた意味がない」
と言うんです。


そして、会えないまま、夫は亡くなります。


彼女の祖国への愛の強さ、責任感の強さにも感動するけど、
それを理解し支えた家族の強さもすごいです。


紆余曲折を経て、ようやく2010年に、
スーチーさんは合計15年にも及んだ自宅軟禁から解放されます。
だけど、まだビルマの民主化は途上で、
映画の最後の言葉、

「Use your freedom to promote ours」
あなたの自由を、わたしたちの自由を実現するために使ってください。

という言葉が、とても胸に響きました。


本当に、自由にものが言えて、書けて、
どこへでも自由に行ける、
つまり基本的人権が保障されているっていうのは
ありがたいことなんだな、と思いました。


ビルマのような国の自由を実現するために、
国連で働いているわけでもないわたしたちが、何をしたらいいのかはよくわからないんですけどね。


ちなみに、ビルマが「ミャンマー」と国名を変えたのは、軍事政権の行ったことで、
スーチーさんの率いる国民民主連盟はそれを認めていないそうです。
なので、ここでは「ビルマ」という表記にしました。
by powderblueY | 2012-07-28 23:07 | 映画 | Comments(4)
Commented by うにーうに at 2012-07-29 07:46 x
こんにちは。九州もやっと梅雨明けしてほっとしています。
夏休み始まりましたね。
下はまだ保育園で助かりますが、お姉ちゃんは学童にも行ってないので、塾の夏季講座に入れたり、プール教室に行ったり忙しいです。
幸い歩いて行けるところにあるので、送り迎えしなくていいので助かります。
そういえば、デルトラクエストにはまって読んでますよ!夏休みには旅行の予定はありますか?
我が家はお盆の旅行が近づいてわくわくしています。
年末年始はハワイはあきらめてシンガポールになりそうです。
シンガポールは旅行されたことがありますか?
去年両親がマリーナベイサンズに泊まってきたのですが、巨大なホテルで泊まるには不便なんだそうです。
マリーナベイサンズは眺めるだけにして、子どもたちの喜びそうなセントーサ島に泊まろうかなーと考えています。

素敵な水着があってよかったですね。私も水着を買いたいと思っているんですが、田舎なのでなかなか素敵な水着が見つかりません。
ショッピングセンターの水着売り場は若い子向けで試着する気になりません><
Commented by たいよう at 2012-07-29 14:14 x
このストーリーが、映画化されて現実に放映までこぎつけたってこともすごいことではないかと思っちゃいます。
それにしても、アウンサンスーチー役のミッシェル・ヨー、まさに本人そのもの!?っておもわせますね。
同じ女性としても人間ととしても、「自由」をいかに意識せず暮らしているか・・・パウダーブルーさんのお蔭でハッとさせられました。

Commented by powderblueY at 2012-07-29 23:58
うにーうにさん
梅雨明けして、暑い日が続きますね。
子供が小学校に入ってみると、保育園って本当にありがたかったなあって思いますよね。
8月も毎日給食が出るなんて・・・。
デルトラクエスト、気に入っていただけてよかったです!
大人が読んでもおもしろいですよね。
うちは夏はお盆に沖縄(渡嘉敷)の予定です。
うにーうにさんのご旅行も近づいてきて、とっても楽しみですね。
年末年始はシンガポールですか! いいですね〜。
わたしはシンガポールは乗り換えばっかりなんです。
1度だけフライトディレイで半日滞在したことがありますが、ホテルで休んでいただけで、
どこも行ったことがありません。
夜の動物園ツアーがおもしろいと聞いたことがあります。
マリーナベイサンズも泊まってみたいなあ。でも高いところがこわいので、あのプールは無理かも。
楽しんできてくださいね。

そうそう、わたしもショッピングセンターの水着売り場は、
「なにしに来たの!?」みたいな目で見られるので、嫌いです(笑)。
Commented by powderblueY at 2012-07-30 00:09
たいようさん
そう、撮影には大変な苦労があったようですよ。
ビルマでの撮影は当然ながら無理で、そんな意図がわかったら入国さえ許可されないので、
タイで撮影したそうです。
15年もの軟禁生活を送ったスーチーさんの自宅を再現するのには、
なんとGoogle Earthで見て、大きさを推し量ったそうですよ。
そんなところまでわかるんだ〜って、逆にちょっとこわいかも。

日本では、国民が自由を求めて戦った歴史がないので、
日常生活の中で自由のありがたさを感じることもないけれど、
こういう映画を見ると、気づかされますね。


<< 水泳大会 「おおかみこどもの雨と雪」 >>