「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

映画の主人公って、なにか心に傷を負っていたのが、
ある出来事をきっかけにそれを乗り越えて
立ち直っていく、みたいな過程を描いたものが多い。


もちろんそれは感動的なんだけど、
なにか予定調和的というか、感動を強制されているような気がしないでもない。


この映画では、主人公のリーは、過去に自分の身に起こったことを乗り越えられない。


初めのうち、それが起こる前の快活でまっとうなリーと、
それが起こった後の孤独で世を捨てたようなリーが交互に出てくるので、
一体これは同一人物なのか??と
話の筋をつかむのが難しかった。


でも荘厳なアダージョの流れる中、その悲劇が語られる。


ああ、これはダメだ。これは乗り越えられない。
リーがあんなふうになってしまうのももっともだ。


兄の死をきっかけに、二度と足を踏み入れたくなかった故郷に戻り、
16歳の甥っ子の後見人になるリーだが、
周りの人から気遣われても、
前妻から許しを請われても、
そんなことでは全然癒やされない。
彼はきっと一生それを乗り越えられない。


だけど、乗り越えられなくてもいいんだよ、
そのままで、少しずつ人に優しく接していけるようになれば、
それでいいんだよ、
以前の自分に戻れなくてもいいんだよ、ってことが
故郷の町の、寒そうな空とくすんだ景色の中で語られる。


すごくいい映画でした。


名古屋ではこの映画は伏見ミリオン座というマイナーな
(でも映画が大好きな人が集まる) 映画館でしか上映されていません。
伏見ミリオン座にはわたしはよく行くんだけど、
正直、よくわからない映画も多いし、
で? 何が言いたいの? この映画? って思うようなのも多いの。


それでもみんながそういうマイナーな映画館に通うのは、
知る人ぞ知る、わかる人にはわかる、わたしだけの1本を求めて行くのであり、
この映画はまさにその1本だと思いました。



by powderblueY | 2017-06-03 23:51 | 映画 | Comments(4)
Commented at 2017-06-04 11:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by powderblueY at 2017-06-05 13:54
みちさん、こんにちは。
ミライドゥ、自信を持ってオススメできます。ぜひぜひ。
あら、ベイでも上映されてるんですね。わたしも実はベイよく行きます。
子供たちにご飯を食べさせてから、20時頃の回を見に行くことが多いんですが、
夜あのあたりはさすがにドキドキします。暴走族にからまれたらどうしよう、とか思いますが、
よく考えると暴走族も、こんなおばちゃんにからんでも、いいことは一つもないですよね(笑)
Commented at 2017-06-05 15:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by powderblueY at 2017-06-05 15:21
みちさん、それ見ました! わたしも涙涙でした。
韓国映画はベタですが、間違いなく泣かせてくれますよね。


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